会社四季報や決算資料を見ていると、
「営業利益率はそれほど高くないのに、ROE(自己資本利益率)は高い」
という会社を見かけることがあります。
これ、以前から少し疑問に思っていました🧐
営業利益率といえば、本業で稼ぐチカラを見るときの指標のはず
「その利益率が高くないのに、ROE(自己資本利益率)は高いってどういうことなんだろう?」
そこで自分の保有株を確認してみると、クエスト(2332)がまさにそんな会社でした。
前期(2026年3月期)の決算内容について、細かい数字を丸めた「概数」で見てみると
営業利益率は6.1%
一方、ROE(自己資本利益率)は10.9%
う~ん、ROEは10%超で高い
こういう会社って、稼ぐチカラが強いの?それとも弱いの??
今回はこのクエストを例に、営業利益率とROEの関係について、自分なりに調べてみました
調べていくと、これまであまり意識していなかった「総資産回転率」がポイントの一つだと分かってきました💡
-営業利益率6.1%で高くないなのに、ROEは10.9%もある?
まずは決算の数字を「概数」で整理していみます
クエストの2026年3月期の売上高は178.1億円、営業利益は10.9億円
営業利益率は、
10.9億円 ÷ 178.1億円 =6.1%
でした
つまり、100円売り上げたとすると、本業の利益として残るのは6円というイメージです
営業利益率が高い別の日本企業(キーエンス)を例に挙げると営業利益率は約51%
クエストと比べると大きな差があります
話を戻して、クエストのROE(自己資本利益率)は?というと・・
まず、26年3月期の純利益は8.0億円
自己資本は74.6億円です
単純に割ると
8.0億円 ÷ 74.6億円 ≒10.7%(※)
となります
※会社公表のROEは10.9%です。
※ROEは、一般的に決算の期首・期末の自己資本の平均値などを使って計算するので、上記の単純計算とは多少異なります
ここからは、会社公表のROE10.9%を使って続けていきます🤗
ここで改めて疑問です
「営業利益率6.1%しかないのに、ROEは10.9%もあるの?」

-そもそも営業利益率とROEは何が違う?
まず整理しておきたいのが、営業利益率とROEでは見ているものが違うということ
営業利益率は、
営業利益 ÷ 売上高
で計算します
つまり、
「売上高に対して、本業でどれくらい利益を残せたのか?」
を見る指標です
一方のROEは、
純利益 ÷ 自己資本
で計算します
こちらは、
「株主のお金(自己資本)を使って、一年間でトータルどれくらいの利益を生み出したのか?」
をみる指標です
つまり、そもそも分母が違うんですね
営業利益 ÷ 売上高 = 営業利益率
純利益 ÷ 自己資本 = ROE(自己資本利益率)
計算式を見比べた結果、
営業利益率が低いからといって、必ずROEも低くなるわけではないことは分かりました💡
では、本業の利益率(営業利益率)が6%台で高くないのに、クエストのROEが10%を超えているのでしょうか??
ここで気になったのが、「資産の使い方」でした
-ポイントは「103.6億円の総資産で178.1億円を売り上げている」
クエストの総資産(自己資本と負債を足した総資産)は103.6億円です
それに対して、2026年3月期の年間売上高は178.1億円
ここを見たときに、
「103.6億円の資産で、年間178.1億円も売り上げているのか!」
と思いました
個人で例えると、103万円の資産を活用して、年間178万円も売り上げているイメージ
会社が持っている資産より、年間に生み出している売上高の方がかなり大きいわけです

-そこで登場するのが「総資産回転率」
この、
「持っている資産を使って、どれくらい売上を作ったのか?」
を見る指標が総資産回転率です
計算方法は以外と簡単!
総資産回転率 = 売上高 ÷ 総資産
クエストの場合、2026年3月期末の総資産を用いて簡易計算すると、
178.1億円(売上高) ÷ 103.6億円(総資産)≒ 1.72回
です
つまり、ざっくり言えば、
持っている資産の約1.72倍の年間売上高を作ることができる会社
ということになります
ここでようやく、
「利益率がそれほど高くなくても、資産を効率よく回して(使って)売上を作ればROEを高めることができる!」
ということが、自分の中でつながりました💡

-「利益率」だけではなく「回転」でも稼げる
今回、私が一番「なるほど!」と思ったところです
会社が効率よく利益を生み出す方法は、本業の利益率を高くすることだけではありません
極端な例ですが、2つの会社を考えてみます
A社
100円売ると20円儲かる
ただし、持っている資産からあまり売上を作れない
B社
100円売って得られる利益は6円
でも、資産を効率よく使って、たくさんの売上を作る
利益率だけを見れば、A社の方が魅力的に見えます
ところが、資産をどれだけ効率よく使っているかまで考えると、見え方が変わってきます
クエストは、このB社の考えに近いタイプとして捉えると、私は理解しやすくなりました💡

-クエストはなぜ資産を効率よく使えるの?
ここでもう一歩考えてみることに
クエストは、巨大な工場や生産設備を使って製品を大量生産する会社ではありません
会社の事業内容を見ると、システム開発・保守・インフラサービス、BPO(※)などを手掛けるITサービス企業です
※BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)👉 企業の特定の業務プロセス(一連の手順や工程)を、企画・設計から実際の運用まで一括して請け負うサービス
つまり、人材・技術・システム・ノウハウなどを活用して売上を作るビジネスです
そのため、大規模な設備投資が必要な業種とは資産構成が違い、総資産に対して売上高を大きくしやすい面があります
ただし、ここは注意も必要です
ITサービス企業では、人材そのものが重要な経営資源となります
設備をたくさん持たなくてもいい代わりに、
「技術者を確保できるか?」
「人件費が上昇しても利益を確保できるか?」
「売上と利益を継続して伸ばせるか?」
などを見る必要があります
ちなみにクエストは中期経営計画で、2030年度に営業利益10%、ROE14%を目標に掲げています
今後、資産効率を維持しながら、利益率まで高められるのかは、個人的にもチェックしていきたいところです

-今回、銘柄を見る目が少し変わりました
これまで私は銘柄を見るとき、
「営業利益率は10%以上あるかな?」
「ROEは8%以上あるかな?」
と、一つ一つの指標を見ることが多かったです
もちろん、それも大切だと思います
でも、今回クエストを調べてみて、
「なぜ、そのROEになっているのか?」
まで考えることが大切なんだと感じました
営業利益率だけを見ると6.1%
でも、
103.6億円の総資産から、178.1億円の売上高を作っている
その結果、総資産回転率は約1.72倍
こうして数字をつなげてみると、営業利益率だけを見ていたときには分からなかった会社の特徴が見えてきました

-まとめ|営業利益率だけでは会社の収益力は分からない
今回、クエスト(2332)を調べて分かったのは、
「営業利益率が低い = 効率の悪い会社」とは限らない
ということでした
クエストの場合、
営業利益率 6.1%
↓
総資産103.6億円で売上高178.1億円を作る
↓
総資産回転率 約1.72回
↓
ROE 10.9%
と数字をつなげて考えることで、会社の特徴がずっと分かりやすくなりました
これからお宝銘柄を探すときは、
「利益率はどれくらい?」
に加えて、
「持っている資産から、どれくらい売上を作っている?」
という視点も加えてみようと思います
投資指標って、一つずつ覚えるよりも、数字同士をつなげて考えると面白いですね🤗
※いわずもがなで恐縮ですが、本記事は筆者自身の投資記録・学習内容をまとめたものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではありませんので、あしからずご了承ください
本記事も最後までお付き合いいただきありがとうございました!


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